開発計画と地域社会の関係を論じたアフリカ研究は、開発経済学などの分野に蓄積されつつある。しかし、その多くは長期的視座を持つマクロな政策研究であり、個別社会の実態にまで踏み込んで議論される事は少ない。この状況を受け、研究実施は社会の柔軟性や個の主体性に注目する社会動態論を追究し、開発政策と文化を総合的に理解する事を19年度の課題として掲げた。具体的にはアニア中央部のギクユ人地域で進めできた参与観察を研究成果として発表すると共に、他地域で展開する開発展開地での調査を開始し、これまでの個別実証的な研究を基礎として、開発と文化の連関を応用的なレヴェルにおいて考察した。平成20年3月には、イギリスでの調査を行い、ロンドン大学(SOAS)、LSE、イギリス古文書館にて植民地文書およびケニアに関連する資料を収集した。
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