フランスにおける「社会的調停」は、紛争当事者の心理的満足よりも、地位全体の融和がいかにして実現されたか、という点に焦点がある。それゆえ都市政策、社会政策と密接に関連した司法政策になっている。制度の実施にあたっているのは、アソシアシオンと呼ばれる民間非営利団体であり、この言葉には、「人々を結びつける」という意味もある。近年は、近隣の民主主義という観点から、近隣住区評議会でも地域の問題、近隣紛争が話しあわれ、そのような現象も「社会的調停」と呼ばれている。しかし、この近隣住区評議会は、既存のアソシアシオンとの間で、役割分担をめぐる紛争を起こしているケースもあり、制度間の社会的調停も必要になっていることが分かった。
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