平成18年度では、主として、実態調査と資料収集に努めた。 時間や予算等の制限により、まず中国の西南地域における国有企業に絞り、貴陽特殊鋼有限責任公司、貴州陽光産権交易所等の国有企業に対して、実態調査を行ってきた。 資料収集について、日本と中国の大学図書館をフルに生かすと共に、必要に応じて、地域経済専門家である貴州大学経済学院洪名勇教授、長春市役所、九台市役所等へのインタビューをも実施した。 以上のような研究活動を通して、本研究課題に関する初歩的な認識と一定の成果が得られている。すなわち、 (1)国有企業は、歴史においても、また今日においても、中国経済における存在は非常に大きい。 (2)国有企業改革は、まだ端緒に着いたばかりであり、様々な矛盾や困難に直面している。 (3)国有企業改革が直面している問題は、全方位に行き渡っている。国有企業改革自身からみると、資金の問題、技術や人の問題が挙げられる。国有企業改革を取り巻く外部環境からすれば、立地条件の不利やインフラの不備、民営企業や外資企業の未発達、地域の壁、党や政府による参与、法律の供給不足などが挙げられる。 (4)複雑に絡んでいるこれらの問題に、どうやって対応していくかは、今後の中国にとって真剣に考えていかなければならない大きな課題である。 (5)問題解決のため、政府(行政)の果たす役割(あるいは責任)は非常に大きい。政府(行政)は、国有企業の設立者であり管理者や責任者であるのみならず、国有企業改革の主役でもある。上述の国有企業改革自身の問題にしろ、それを取り巻く外部環堵の問題にしろ、問題を解決するのに、いずれも政府(行政)の参与とサボートなしには考えられない。
|