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歴史的アプローチについては、憲法史に関する先行研究を精査しつつ、19世紀のドイツ、イギリスの文献に当たっている段階である。今年度は果たせなかったが、来年度は国立国会図書館等へ赴いて一次史料を収集したいと考えている。
なお、実証研究として、財政投融資制度に関する憲法学の観点からの考察を行ったものを公表している。本稿は、本研究が始まる以前から取り組んでいたものではあるが、財政と行政とは密接な関係にあるものであり、本研究の一環を成すものということもできる。とりわけ、財政投融資計画を取り纏める行政部内の制度について批判的な検討を加えた第二章第三節一は、具体的事例を題材とした現在の内閣制度の在り方に対する考察である。
理論的アプローチについては、当初の計画では1990年以降の日本における行政権概念に関する諸論考を再読して、これらの背後にある「あるべき政治権力の行使の在り方と、それに対する適切な法の規律の在り方」を分析した上で、憲法65条の解釈論として、執政権を洗練させたかたちで一本の論文にまとめて提示することとしていたが、広い意味で「政策決定」という執政権の一要素とも関連し、また「行政各部の統括」という執政権の別の要素中の重要な位置を占める「行政組織編成権」について、まずは論文にまとめることとし、現在執筆中である(ただし、寄稿を予定している記念論文集の締切が本年8月末に延期されたこともあり、本年度内の公表とはならない)。
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