研究概要 |
研究二年目である本年度は、前年度の研究を継続・発展させた。すなわち、抵触法の全体的構造や法哲学・法制史に関する内外文献の購入・分析を継続すると共に、パリ及びブリュッセルにおいて資料を収集し、国際取引実務に携わる実務家や研究者と意見交換を行った(2007年8月26日〜9月4日)。また、前年度に参加したシンポジウムの成果である"International Company Law in Japan"を脱稿すると共に、実体法と手続法との関係が問題となる具体的一事例として、陸揚港が外国の場合の船荷証券喪失に基づく公示催告等に関する東京簡裁平成17年10月20日決定について渉外判例研究会で報告し(2007年6月16日、学習院大学)、評釈を執筆した。 以上の活動を通じ、外国国家行為制度を抵触法上位置付けるためには、その前提として、外国国家行為を行う主体である外国「国家」とは何か、という根本的問題の考察が避けられないことが強く意識されるようになった。 そこで、前年度から継続して行っている「抵触法と法哲学」研究会において、Jansen/Michaels,"Private Law and the State",RabelsZ Bd. 71 (2007), 345について報告すると共に(2007年7月14,15日、近畿大学)、また、北海道大学法形成論ランチォンにおいて「抵触法における非国家法の適用可能性」というテーマで報告した(2008年1月28日、北海道大学)。さらに、政府承認の取消・変更と民事訴訟における当事者適格との関係が問題となった最高裁平成19年3月27日第三小法廷判決について評釈を執筆した上で、北大民法理論研究会において報告を行った(2008年2月12日、北海道大学)。これらの研究会における法哲学・国際法・民法の研究者との討論を通じ、抵触法における法規範形成主体或いは「国」の位置付けについて考察を深めた。
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