研究課題
研究三年目である本年度においては、内外文献の購入・分析を継続しつつ、外国国家行為を行う主体である外国「国家」に関する考察を深めた。まず、外国国家行為を我が国民事手続法上どのように評価するかが重要となる所謂主権免除の問題について、国際法学会2008年度(第111年次)春季大会において「『主権免除』に関する抵触法的考察」というテーマで報告を行い、論文を執筆し、また、主権免除が問題となった最判平成18年7月21日につき英文で評釈を執筆した。また、未承認国家の著作物とベルヌ条約上の保護義務が問題となった東京地判平成19年12月14日につき、知的財産法研究会で報告を行い、評釈を執筆した。さらに、法人についての外国租税法上の評価を我が国租税法上如何に考慮するかが問題となった東京高判平成19年10月10目について渉外判例研究会で報告し、評釈を執筆した。最後に、関西国際法研究会において「外国国家行為の我が国における効果-フランスにおける議論を中心に」というテーマで報告し、そこでの議論をも踏まえて研究成果を取りまとめた(同成果については、近いうちに公表する予定である)。本研究課題の具体的成果は、外国国家行為の対象、承認要件、効果を明確にしたことにある。すなわち、(1) 外国国家機関が断定的に介入しているのであれば、如何に公権力性の度合いが低くても外国国家行為承認制度により処理すべきであること(対象)、(2) 国家行為の機能毎に承認要件を区別する必要はなく、間接管轄、関係当事者に関する手続的保障、公序、相互の保証を一律に課すべきであること(要件)、(3) 効果に関しては、当該国家行為を行った国の法に依拠すべきでありそれ以上の効果を付与しないこと(効果)、の3点である。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
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知的財産法政策学研究 21号
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