1 平成18年度中の具体的な研究成果として、本研究助成を活用して収集した資料を用いて、成立した「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」を前提とした、わが国における「市場化テスト」の下で生じる公務員制度への影響に関する基本的問題状況を、英国の制度を視野に入れつつ検討した「市場化テストと公務員制度」を執筆し、自治体学研究93号に掲載した。同論文においては、上記法律は民間事業者が落札した「市場化テスト」対象業務に従事していた公務員については公務部内で地位の継続を図ることを基本的なスタンスとしているとの分析を示した上で、このような前提の下で生じる公務員制度への影響と、公務員の雇用の安定化を図る上で考えられる施策についての概括的な検討を示した。 2 本研究助成を活用して収集した資料を用いて、英国及び米国における「市場化テスト」に係る法制度の内容を、民間事業者が対象事業を落札した場合の公務員への影響に関する点を中心として把握し、合わせて、比較対象となる、民間部門における企業組織変動の場合の労働者への影響に関する法制度についても検討を行った。特に、英国については、平成18年に、市場化テストの場合にも適用される事業譲渡(雇用保護)規則(TUPE)が改正されたことから、改正規則の内容と、「市場化テスト」への影響について重点的に検討を行った。 3 次年度に向けた、より詳細な比較法的検討の対象として、米国インディアナポリス市(インディアナ州)等、いくつかの候補を抽出した。 4 平成18年度中に実施する予定であった、国内の行政機関への聞き取り調査は、調査対象機関との日程調整がうまくできなかった等の理由により、年度内に実施することができなかった。
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