本年度は、EUおよびドイツにおける労働者の個人情報保護の実効性確保についての法的検討をさらに進める目的で以下の通り家施した。 1 裁判例の検討 ドイツにおける労働者の個入情報保護の仕組みである、事業所内テータ保護監督員の法的地位に係る裁判例を検討した また、職場における労働者のインターネント利用のあり方と職務専念義務との関係に関わる裁判例を検討した。 2 インタビュー調査 2007年9月6日〜13日、トイツ連邦共和国において調査を行った。フランクフルトにおいて労働法を専門に扱う弁護士と面談した。また、ハンフルクにおいて、ハンブルク大学のUrlich Zachert教授と面談し、EUおよびドイツにおける労働者の個人情報保護のあり方についての知見を得た。さらに、ハンフノヒク労働裁判所の裁判官と面談し、実際の裁判の様子を見学した。 3 学術論文等の検討 ドイツにおける労働者の個人情報保護の実効性確保に関わって重要な役割を担うのは事業所内データ保護監督員であるが、その者の事業所内における法的地位に関する学術論文を検討し、考察を深めた。 また、学術論文を検討する過程において、現在のドイツにおける問題関心が、企業内における情報管理のあり方や情報技術との関わり方(たとえば、勤務時間中におけるインターネノトの私的利用に対する規制など)など、情報と労働という全般的なとらえ方かなされていることを確認した。
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