研究概要 |
本年度には、国家的標準化機関・政府規制における濫用行為における独禁法の適用可能性、WTO・TBT協定、技術標準にかかる必須特許へのアクセスにかかる国際的・国家的技術標準化機関における取り組みの状況を研究・調査し、独禁法のほか、国際経済法・国際貿易にかかる諸政策、消費者保護法等の観点から法的・政策的検討を行った。ジュネーブに所在する国際標準化機関における動向をウォッチするとともに、国際標準化プロセスや国際標準整合化に関して国際的に消費者の利益を代表する国際消費者機構(本部:ロンドン)および同アジア・太平洋地域オフィス(マレーシア、クアラルンプール)、日本国内の消費者団体等を訪問し、英国の消費者保護団体について調査を行う等して、現状および問題の所在について知見を得て、専門家らとの意見交換等を行った。基準認証に関しては、近時、食品の安全性確保と貿易の促進との両立が喫緊の課題となっているところ、WHOおよび英国内関係諸機関の調査を実施し、SPS協定・CODEXにかかる研究を開始した。これらのうち、前半に挙げた諸事項については本研究報告書II「研究発表」に挙げた論文等(「技術標準化活動と独禁法」「Trade Barrier, Forever?」「基準認証制度と貿易、競争、消費者一欧州における電気通信機器基準認証制度の検討-」等を通じて、日本内外で研究発表を行った(あるいは、行いつつある-刊行は決定されている)。後者(消費者保護との関わり、食品分野における諸問題)については調査を通じて端緒をつかみ、概要を把握しつつあるところであり、2007年度前半〜中ごろにかけて独禁法・競争政策の観点から問題の精査・検討を行った上で、論文等の形で研究の成果をまとめたいと考えている。
|