本研究の目的は、どのような社会的要因が厳罰化政策の実現を促しているのかを明らかにすることにある。 刑法や少年法の改正にみられるように、近年、わが国の刑事政策は、刑罰による対応を重視・強化する方向にある。そうした動向を促す要因として、様々なレベルで様々な事柄が考えられるが、少なくともその背後に厳罰化を支持する世論があることは間違いないだろう。本研究では、そうした厳罰化を支持する世論はいかにして形成されるのかについて、その形成要因を抽出することを目標としている。 なお、本研究では、右の目標を達成するにあたって、質問紙調査を用いた実証研究を行う予定である。いうまでもなく、この種の研究は、調査に取りかかる前の準備作業の充実度が研究自体の成果を大きく左右する。そこで、初年度である平成18年度は、主として質問紙調査の作成と実施の準備作業に当てた。本年度に行った作業内容は以下のとおりである。 1)関連文献を調査し、用いる理論枠組みの妥当性を再検討した。 2)質問項目の妥当性・適切性を精査した。 3)調査候補地に出向き、基礎調査を行った。 4)調査項目や理論枠組が偏ったものとならないよう、関連分野の研究者との意見交換を行った。 以上の作業をとおして得られた知見を参照しながら、次年度以降の作業に取り組みたいと考えている。
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