日本において再鑑定資料の保存機関・方法・期限等に関するルールがなく、かつ再鑑定の実施の要否は裁判所の裁量に任されているため、被告人側が独自に鑑定の実施を望んでも実現に困難が伴うことが把握された。再鑑定の実施を被告人の権利の一つと捉えないため、再鑑定資料の保存義務という問題が生じてこないのが現状であろう。しかし、当事者主義を採用する以上、残存資料へのアクセス権が認められるべきであり、また再鑑定が、雪冤の決定的証拠となりうることから、有罪確定後、刑期が終了するまでの間における鑑定資料保存の義務づけが必要である。
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