研究概要 |
比較法研究の基礎作業として、国内の親子、児童福祉、少年司法の法制に関する調査・研究を開始した。親子法については、国内の議論の概略を英文報告書にまとめ(SCHWENZER, I. (ed.), Tensions between legal, biological and social conceptions of parentage所収)、欧米の研究者との意見交換に供した。その結果、わが国の親子法は、父母の婚姻状態に基づいて親子関係が規律されるという特色を他国に比べて強く保っている傾向が明らかとなった。児童福祉、少年司法分野については、関係文献を多数購入し、文献研究の基礎を整えることができた。 当研究の対象分野では、司法のみならず関係他分野を含めた実務上の連携動向の把握が重要であるところ、地方自治体の児童福祉関係者の経験及び知見について仙台弁護士会主催の児童虐待問題研究会への参加により、また、同問題に関する多分野にわたる専門機関の協働の先進例として名高い北海道浦河町の取り組みにつき実地調査によって、情報収集を行った。 フランスの育成扶助制度については、平成18年度は基礎的文献収集を主眼としたが、実施済みの予備調査によって得られた同制度の適用事例の裁判資料メモをまとめ、典型的な適用例のケースノートを公表する準備を整えた(現在、出版社にて査読中である)ほか、翌年度以降の調査項目のリストを用意した。
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