本年度は、経済印損害にかかる責任=救済法構築のための基盤的研究として、主にイマグランド法との比較法の手法をとることによって研究を行った。つまり、現在のわが周の不法行為法の議論については、アメリカ法における議論に示唆を得た過失一元論が有力であるところ、イングランド法では現在においても個別の不法行為(tort)が「開かれた束」である「不法行為法(The Law of Torts)」となる構成を維持しており、ここからは多大なる示唆を得ることが有益と思われたからである。 具体的には、まず救済法の観点から、イギリス法における「差止めの代替となる損害賠償」に焦点を当てて分析を行った。すなわち、イングランド法の不法行為は、被侵害利益・救済方法ともに類型化されだ細やかな議論を行っており、わが国の問題についてまさに参照すべき状況といえるが、経済的損害が問題となる独占禁止法24条との関連で調査を進めた。 このため、イングランド法・日本法の極めて多数のテキスト類を購入・参照し、イングランド法における法状況を検討するとそもに、検討成果を整理・分析するために電子計算機、あるいは文書をデジタル処理するための認識装置を用いて、イングランド法における法状況を調査・検討・分析した。 以上のような分析結果を踏まえ、最終年度となる来年度は、経済的損害と不法行為法の機能に関する研究を行いたい。
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