本研究では、近年の外資企業における労使紛争の展開・収束過程および労働者の権益保障にかかわる諸アクター(外資側経営管理者・企業労働者・中央政府・地方政府・国際機関・各業界団体・工会(労働組合)・民間非営利組織・知識人・メディアなど)の動向を分析し、既存の「人民民主独裁型国家コーポラティズム」が厳然と機能し、胡錦濤政権の下で党・政府・労働組合(工会)の一体化への退行がみられる一方で、外資企業をはじめとした企業の地元政府からの自立化や草の根NGOの出現など、市民社会形成の動きが活発化している中国の現状を明らかにした。
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