| 研究概要 |
研究計画の初年度に当たる今年度は,大きく二つの作業を行った.第一は,先行研究の収集,検討である.第二は,現在の日本の官僚制を対象として,政治的コントロールの実態を分析することである.
後者に関して敷衍すると,まず,これまで研究代表者が行ってきた政治と官僚の関係を分析するための,フォーマルなモデルを,より具体的に日本の分析に利用するために修正することを試みた.
つぎに,計量分析により,モデルから導かれる仮説の検証を行った.従属変数としては,審議会を政権党による官僚制へのコントロールのための一つの手段と考え,現行法律に規定のある全ての審議会について,その政策形成における役割や,審議会の組織的な特徴についてのデータを集めた.独立変数については,政権党の議員たちが,中央各省庁の官僚制に対して,どのように評価しているか,すなわち,政策形成において必要な情報を集めているか,理想とする政策についての考え方がどの程度一致しているかなどの点について,政治家や官僚へのサーヴェイデータをもとに指標化を試みた.
この二つの変数間の関係を統計的に推定することで,政権党は,基本的には官僚制に政策形成の権限を移譲しつつも,それでは満足な政策形成が期待されない場合に,審議会を設置し,政策形成に参加させていることが明らかになった.
この研究成果については,査読付き雑誌にて公表を行った.
次年度についても引き続き,同じ手法で,さらに指標を広げることで,政権党による官僚制のコントロールの諸相を,より多面的に描き出すこととする.
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