平成18年度においては、(1)分析枠組みの確定、(2)自治体における特別職公務員制度の形成過程に関する分析、に焦点を絞るとともに、(3)特別職人事の事例分析を行うための予備作業として、文献調査ならびに自治体関係者に対するインタビューを行うことを目指した。 まず、(1)については、政治学・行政学における新制度論の研究動向を整理し、これを自治体公務員制度史の文脈に位置づけることを試みた。このような新制度論と歴史分析の接合可能性については、より一般的な枠組みの検討結果ではあるが、論文「『新しい制度史』と日本の政治行政研究」として公表した。 (2)については、近年の制度改革の動向、具体的には、平成18年地方自治法改正に伴う副市区町村長制の導入や出納長・収入役の廃止等の制度変化を検証するとともに、道州制構想や教育委員会制度改革の進展等の最新動向を、戦後における特別職公務員制度の形成過程という歴史的な視点と結びつけることを試みた。その具体的成果として、論文「教育委員会制度改革の視座と展望」、「教育委員会制度の構想と設計」等がある。 (3)については、先方の都合等の調整がつかず、当初予定していたインタビュー調査を年内に行うことが不可能になった。これについては、改めて調査先の検討を行い、19年度の実施を期すことにしたい。
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