本研究の目的は、1996年以降、衆議院の選挙制度として用いられてきた小選挙区比例代表並立制下において、国庫支出金を主とする補助金の各地方自治体に対する配分を手段とし、政権与党の勢力拡大と政権維持を可能にしてきたということを明らかにすることである。その上で、最終的には、五五年体制以来の日本政治において、財政支出というものが政権与党の長期政権維持に寄与してきたということを実証的に明らかにしていくことである。 平成18年度においては、五五年体制以降の政治状況に関する研究及び地方財政に関する研究を中心とした先行研究についての文献調査、及び、本研究の遂行上必要となるデータ((1)国政選挙結果に関連するデータ:小選挙区比例代表並立制下において行われた4回の衆議院総選挙(1996年・2000年・2003年・2005年)での各市区町村別の選挙結果データ、(2)政治家のバックグラウンドに関連するデータ:1996年の衆議院総選挙以降、小選挙区に立候補し当選、あるいは、小選挙区では落選しながらも比例代表で復活当選した議員全員の前歴・国会議員としての経歴・政党内の役職等に関するデータ、(3)補助金の配分額に関するデータ:各市区町村に対する各年度の地方交付税交付金額・特別交付税交付金額・国庫支出金額・都道府県支出金額、(4)各地方自治体の特性を示すデータ:各地方自治体の特性を示す人口統計学的データ(人口・人口構成・産業人口比等)・財政に関するデータ(財政力指数・経常収支比率・公債費負担比率・地方税収入額等)・首長の属性を示すデータ(党派・前歴等))の収集及び整理を行い、これらを用いて分析を行うための統計解析ソフトウェアの整備を行うことで、次年度以降の研究遂行に備えた。
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