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2006 年度 実績報告書

台湾における民主化と民主主義の「変容」

研究課題

研究課題/領域番号 18730107
研究機関長崎外国語大学

研究代表者

松本 充豊  長崎外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00335415)

キーワード台湾 / 民主化 / 民主主義 / ポピュリズム / 李登輝 / 陳水扁 / 新興民主主義国
研究概要

本年度は、台湾に現存する民主主義の特徴とその背景を考察するため、陳水扁政権下でのポピュリズム的な政治現象の分析と、他国の類似現象との比較研究を行った。
まずは、陳水扁のポピュリズム的な政治戦略ないし政治手法と、台湾の民主主義の不安定化、社会の分裂の深刻化との関係を考察した。「台湾の子」陳水扁は、国民党一党支配とその腐敗構造の改革を目指して総統に当選した。しかし、中国との関係改善が進まず、分割政府状態下で野党勢力との対立が深まる中で、再選を狙った陳水扁総統は、エスニック・ナショナルなアイデンティティに関わる、イデオロギー的な方向へと改革の内容をシフトさせた。そして、内部の「敵」である野党勢力は、外部の「敵」である中国と結んで「台湾を中国に売り渡す」存在として設定された。その結果、陳水扁総統のポピュリズムは、政界での政党間の対抗関係を刺激するにとどまらず、社会の分裂を引き起こし、台湾の民主主義を不安定化させる一因になったと考えられる。
つぎに、同じく東アジアの新興民主主義国である韓国との比較から、台湾のポピュリズムの特徴を考察した。台湾では、韓国よりも一足早く、民主化当初からポピュリスト政治家が登場した。また、民主化以降の2人のリーダー、李登輝総統と陳水扁総統は、いずれもポピュリスト政治家であるが、対照的でもある。李登輝総統は国民党というエリート集団から登場したのに対し、陳水扁総統は民進党というかつてのカウンター・エリートの中から現れた。さらに、李登輝は安定した政権基盤を維持しながら、国民党一党独裁体制の民主化を平和的に実現した。一方、陳水扁は目立った成果をあげられないまま、彼自身と家族らの金銭スキャンダルが発覚したのをきっかけに、一気にレームダック化した。同じポピュリスト政治家でも、李登輝は「成功」し、陳水扁は「失敗」した、といえる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 台湾の地方自治と地方選挙-台北市、高雄市の事例2007

    • 著者名/発表者名
      松本充豊
    • 雑誌名

      問題と研究 第36巻・1号

      ページ: 73-91

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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