本年度は、本研究最終年度に該当することから、昨年度より継続して実行していた、連邦政府及び各州政府の専門職移民導入促進政策に関する調査を行ない、平成19年9月に、タスマニア州及びクイーンズランド州政府担当者より、同州政府の政策について、直接に聴取するための現地調査を実行した。これによって、国際的な人口移動が活発化する中、連邦政府は専門職移民の導入について極めて積極姿勢を打ち出していることが確認でき、あわせて、州政府に対しても移民候補者を推薦する権限を与えることによって、実際の移民選別において大きな役割を果たすようになってきていること、このため、各州政府が独自の選考基準などを設け、また、移民の入国後の定住支援にも相当の積極姿勢を打ち出していることなどが確認できた。併せて、専門職移民の国際間、さらには豪州内における各州の相互間での獲得競争が激化しており、豪州連邦政府及び各州は、こうした競争を念頭として政策を構築していることも同様に確認できた。 このことは、グローバル化の中で、移民政策が、従来までの社会政策的なものではなく、むしろ、積極的な経済政策、さらには国益を追求するものとして変貌を遂げているということができ、本研究では、そうした趨勢を移民先進国のひとつともいえる豪州において確認することができた。 こうした調査結果を踏まえ、それを取りまとめ、平成19年10月に開催された、日本国際政治学会2007年度研究大会において研究発表を行ない、本研究の成果を広く学術界に公表した。
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