現代日中関係と歴史認識問題について「田中上奏文」を軸とした分析を現在に向けて進めた。具体的には、東京裁判から冷戦期、そしていわゆる歴史認識問題が顕在化する1980年代以降である。 これらについては、以前に発表した論考と合わせて、拙著『日中関係と歴史認識-「田中上奏文」の研究(仮)』と題する著作を発表すべく準備した。同書は、来年度にも刊行できる段階となっている。 一方、伝記的な研究としては、日中間で評価の別れる広田弘毅について研究を行った。その成果は、拙著『広田弘毅-「悲劇の宰相」の実像』(中央公論新社、2008年)として公刊した。 また、より一般的な伝記的研究としては、佐道明広・小宮一夫・服部龍二編『人物で読む現代日本外交史-近衛文麿から小泉純一郎まで』(吉川弘文館、2008年)、佐道明広・小宮一夫・服部龍二編『人物で読む近代日本外交史大久保利通から広田弘毅まで』(吉川弘文館、2009年)を共編でまとめた。 日中両国主催の日中歴史共同研究にも引き続き参加しており、中国の済南などで会議に出席した。そこでの報告書は、担当分として近現代史篇第1部第3章を仕上げており、来年度に向けて公表予定となっている。 史料面では、拙編「王正廷回顧録Looking Back and Looking Forward』(中央木学出版部、2008年)を刊行した。そのほか、「宮澤談話に関する一史料」(『中央大学論集第30号掲載予定)、「金大中事件に関する一史料」(『総合政策研究』第17号、掲載予定)もある。
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