本年度は (1)昨年度に引き続き書籍の購入を行い、研究基盤を整えるとともに、下記のように(2)(3)(4)のことを実施した。 (2)昨年度、ウガンダにおいて「難民および難民受け入れ地域に対する開発援助(DAR)」が実施されているチャングワリ難民居住地において難民開発援助とエンパーワメントの相関関係を調査したが、その成果を2007年5月に開催された日本アフリカ学会で報告するとともに、論文を刊行した。 (3)ザンビアにおいて、難民開発援助の一環として行なわれている「ザンビア・イニシアティブ(ZI)」に関する進捗状況をマユクワユクワ難民定住地で裨益者に対する聞き取り調査を行なった。 (4)ZIに関与するステークホルダー(ザンビア政府内務省難民局担当者、JICA担当者、デンマーク大使館担当者、UNHCR関係者など)に対してインタビューを行い、ドナーの難民開発援助に対する政治的動機と問題点を検討した。 以上のように、本年度はほぼ計画通り、難民開発援助の現状を把握するとともに、ドナーの動向を分析することができた。これらの調査と資料分析をもとに現在、難民開発援助に積極的な支援を行なっているデンマーク政府の難民開発援助支援に対する政治的動機を分析した論文を作成している。ただし、英国、オランダなどの他のドナー諸国の動向、ドナー諸国間の関係、UNHCRとの関係を分析するために必要なインタビューと資料収集が十分に行なわれていないため、難民開発援助の理論的フレームワークを構築をするには次年度にこれらの課題に取り組み、最終的に難民開発援助レジームのモデル化をレジーム論とグローバル・ガバナンス論の視点から検討していきたいと考えている。
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