研究概要 |
本研究では、不況状態における、出生率と失業率の関係を内生的に捉えたモデルの構築を試みるものである。特に、現在日本は長期における不況状況に直面している。また、人口構造の問題としては少子高齢化が取り上げられている。それらに対応するため、どのような経済政策が最適なのかを分析する。また新古典派的な完全雇用が成立する経済、すなわち雇用が完全雇用を達成するケースと、完全雇用が達成されない経済での均衡の比較をおこなうことによって、どのような政策がそれぞれのケースで必要となるかを理論的に分析を与える。 具体的には、動学的環境の下で、不況を扱えるモデルとして、Ono(2001)を元にモデル化を行った。ただしOno(2001)のモデルでは、出生率を内生化できていない。そこで本研究では、そのモデルを内生的出生率のモデルに応用して、不況状態から導出される雇用率と出生率の関係を描写することが理諭的に明らかにできた。まだ政策的な分析ができてはいないが、すでに導出された経済の動学的振る舞いや、長期的に達成される均衡である定常状態の分析はあきらかにされた。特に、その動学体系は、サドルパスであることが証明され、均衡はユニークであることが示されている。また、景気が悪いほど、出生率が低いという、実際の統計データに沿うものであることが理諭的に示すことが可能となった。 これら研究結果は、分野の専門家との研究の打合わせや説論を通じて改善させてきた。また、平成18年10/27に、第85回マクロ経済学研究会(大阪大学中之島センターにおいて)報告を行った。 参考文献 Ono, Y(2001)"A reinterpretation of Chapter 17 of Keynes's General Theory : effective demand shortage under dynamic optimization,"lnternational Economic Review 42,207-236.
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