本プロジェクトの初年度に当たる平成18年度は、ごみ処分所設置に対する地域の不効用情報を正しく集めるためのメカニズム設計を行った。その結果はT.Sakai"Fair waste pricing : an axiomatic analysis to the NIMBY problem"にまとめられた。 この論文は、関連分野の主要学会であるSociety for Social Choice and Welfareで報告されたが、評価は大変好評だったと判断している。また、そこで多くの研究者から得たコメントをもとに更なる改訂を進めた。平成19年度はこのメカニズムが実際にどの程度使用に耐え得るかを実験するのが中心となるが、その実験計画についても多くのコメントを得られたのはとりわけ大きな収穫であった。また、Olivier Bochet氏(オランダ、マーストリヒト大学 助教授)を横浜国立大学に招聘し、関連したテーマにおけるメカニズム設計についての共同研究を行った。その成果は"General equivalence to the uniform rule through strategic manipulation"および"Secure implementation in allotment economies"にまとめられた。 また、平成18年度はメカニズムデザインに関する論文を多く公刊した。その成果は次ページの表にまとめられている。これらの論文はいずれも直接的、間接的に、本プロジェクトの主要目的である、ごみ処分場不効用情報開示メカニズムの設計に関わっている。とりわけ、上記の"Fair waste pricing"論文は、Ju氏とMiyagawa氏との共同論文で得られた成果に依る所が大きいが、この論文はJournal of Economic Theoryの2007年巻頭論文として掲載された。
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