研究概要 |
本年度は疑似多項分布を含む分布族を定義し、この分布族に共通する性質を評価した。分割表の第jセルの度数F_jが独立に複合ポアソン分布exp(theta_j(g(z)-1))に従うとする。この時、総度数をNと書き、条件付き分布Pr(F_1,...,F_J|N=n)をg(z)により生成された条件付き複合ポアソン(CCP)分布と定義する。例えばg(z)がボレル分布の確率母関数なら、CCP分布は疑似多項分布となる。CCP分布は多項分布の拡張となっており、その性質を一部受け継ぐ。例えばCCP分布は任意の周辺分布を取る操作について閉じており、この性質を利用して解析が可能となる。またF_jの周辺期待値はg(z)に依存しない事などが示せる。 なおCCP分布について、Nの分布を固定してセル数Jを無限大にする極限操作を加えると、極限条件付き複合ポアソン(LCCP)分布を得る。LCCP分布は、Gibbs分割の特殊ケースとなる。Gibbs分割はKochinのモデルと関連づける事ができる。母数(u,q_1,q_2,...)の多項分布についてuをポアソン分布で混合し、さらに総個体数所与の条件付き分布を求めると、自然数の確率分割を得る。これがKolchinモデルと呼ばれる確率分割族の生成法である。このモデルは(1)多項分布、(2)そのポアソン混合分布、(3)その条件付き分布、の三段階から成立するが、実はその三段階全てが小数法則による極限分布として表せる。このような分布・モデルの関係を明確化する事が出来た。
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