研究概要 |
本年度は,バッギングを実際に応用できる可能性のある例として,カーネル密度推定法にリサンプリング法を応用することを考えた,昨年度のサーベイにより,バッギングが効果をもたらすのは,通常のブートストラップ法による分布の近似が有効でない場合ということが分かっている。 カーネル密度推定法においては,バンド幅と呼ばれるパラメータの選択が非堂に重要であることが知られている。バンド幅は,通常,推定量の平均自乗誤差が最小化されるような値を用いるが,このような値を用いた場合,カーネル密度推定量はバイアスを持つことが知られている。しかし,ブートストラップ法を用いてカーネル密度推定量の分布を近似することを考えると,通常のブートストラップ法ではカーネル密度推定量のバイアスを近似することができないため,ブートストラップ法は有効でたい。このことから,カーネル密度推定法に関してはバッギングによる効果が得られる可能性があるように思える。しかし,実際は,ブートストラップ法の繰り返しによって得られるカーネル密度推定量の平均値(ブートストラップ推定料)がカーネル密度推定量そのものに一致してしまうという理由から,この問題においてはバッギングを用いても推定量の性質を改善することができないことが分かった。しかし,カーネル密度推定を含むノンパラメトリック推定法に対するリサンプリング法の応用には,多くの問題が残されている。この点についても今後の研究課題としたい。
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