研究課題
今年度の研究成果はWatanabe(2006)にまとめられている。そこでは、新製品投入の遅れに対して消養者が寛容であれば、やがては複占企業双方が同じ周期で、かつ互いの投入時期をずらして製品を更新し、品質における上位と下位の企業が周期的に入れ替わるターンオーヴァー・サイクルの生成が予見された。品賓の変化を考慮した価格指標QAPは消費者の通時的な厚生を示すが、このモデルの均衡経路は「QAPは時間を通じて逓減する」という実証的事実をうまく説明できる。カギは製品更新時期に関する消費者の選好である。新製品投入の遅れからくる負効用はこれまでも分析対象となってきたが、上記モデルの特色は「新製品を待つことから得られる将来の効用の増加」の導入にある。研究実施計画では、実証研究の土台作りとして静学的な分析を行なう予定であっ.たが、上記のように動学モデルを作成したため、より具体的に実証研究の方法を模雰し、更に白動車産業に関してはデータの収集もスタートさせることができた。上記の理論的予見は、新製品の研究開発に対する投資を考慮することなく得られたものであるが、製品更新戦略について明確な結果が得られたので、新製品の研究開発についても深い分析が可能となった。今後は研究開発を組み込んだ理論モデルの構築を行なう。また、ポータブルになった携帯電話番号(MNP)により事業体間の乗換えが円滑に行えるようになったので、この産業についても分析を進める。
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Department of Social Systems and Management Discussion Paper Series, the University of Tsukuba 1165
ページ: 1-28