今年度は、本研究課題を遂行する上で、準備的/基礎的研究および理論的研究として、主に以下の2点について取り組んだ。 1.前年度に収集/構築したデータ・ベースを基に、国際旅客/貨物流動および都市のハブ(拠点)性、さらに新空港開港効果について分析した。 2.アムステルダム大学の研究者との共同研究として、特に日本と韓国の主要空港における航空ネットワーク・パフォーマンスを評価した。 1は前年度からの継続課題であるが、2005年度に国際学会で報告した論文がセレクトされ、交通分野で高い評価を得ている国際ジャーナルに掲載された(雑誌論文1)。その中では、国際航空旅客/貨物流動からみた世界の主要都市におけるハブ(拠点)性について、定量的な分析を行った。同時に、特にアジア地域における新空港を取り上げ、パネルデータ分析によって新空港開港効果を定量的に明らかにし、関西国際空港の定期刊行物において、同研究成果に関する簡単な解説を行った(雑誌論文2)。結論としては、大阪、香港、そしてソウルにおいて、新空港開港後に有意な航空旅客数/貨物量の増加が認められた。 2については、平成19年9月にアムステルダム大学SEOエコノミックリサーチに研究滞在し、同研究所のオランダ人研究者と共同研究を行った。そこでは、航空ネットワーク・パフォーマンスおよびハブ・コネクティブ・パワーを計測/評価する分析モデルを構築し、北東アジア地域(特に、日本および韓国)に対して実証分析を行った結果、日本発の国際航空旅客にとっては、仁川国際空港が最大のハブ空港であるという結論を得た(雑誌論文3)。
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