今年度は、本研究課題を遂行する上で、理論研究および実証分析/政策提言として、アムステルダム大学の研究者との共同研究の下で、主に以下の2点について取り組んだ。 1. 航空ネットワーク・パフォーマンスと空港の競争的地位を計測/評価するモデルの構築 2. 構築した理論モデルとOAGデータ・ベースを援用し、アジア/太平洋地域の主要20国際空港への適用 1では、ハブ・アンド・スポークシステム(HSS)における航空ネットワーク・パフォーマンスの評価は、直行便と経由便双方の質量を考慮する必要があるとの前提に立ち、従来の統計指標では明らかにされなかった空港の競争的地位を評価するモデルを構築した。まずネットワーク・コネクティビティーをダイレクト、インダイレクト、オンワード、およびハブの4タイプに類型化した上で、乗り換え時間や迂回時間に起因する追加的費用を反映したモデルを提案し、直行便に対する経由便の評価を行った。 2では、開発したモデルにOAGデータをインプットし、アジア/太平洋地域の主要20国際空港の航空ネットワーク・パフォーマンスと空港の競争的地位を評価した。そして、直行便の前後にある航空ネットワーク・パフォーマンスの大きさを定量的に把握した結果、同地域における空港の競争的地位が確認された。 結論としては、東京/成田が最も大きな競争的地位を示していた。そして、中国本土の主要3空港(北京、上海、広州)において、航空ネットワーク・パフォーマンスは最も顕著に上昇していた。その一方で、特に大阪においては、航空ネットワーク・パフォーマンスの低下が観察された。 これらの研究成果については、アテネで開催された国際学会(The 12th Air Transport Research Society-World Conference)、およびベルリンで開催された国際会議(The 7th Conference on Applied Infastructure Research)において発表した(学会発表1および2)。
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