研究概要 |
Matsumura and Matsushima (Economics Letters,2007)の拡張からは十分な成果が得られないため、新しい分析枠組みの構築に注力した。その結果、教育や医療では公的サービスへの不信感が無視できない問題であり、この状況をモデルに組み込んで分析する事の重要性を確認した。そこで、この状況を取り込んだ分析枠組みを構築した。これにより、民間部門と公的部門との間に信頼性の差が存在する状況での、公的部門の存在意義を議論することが可能になる。予備的な結果であるが、公的部門への不信感を持った消費者が少なくない場合、公的部門の効率性が民間部門と同じであり、かつ、サービスを低廉な価格で提供したとしても、公的部門の存在により厚生上の損失が発生することが示された。今後、この成果を論文にまとめて、学術誌に投稿する予定である。 この分析枠組みの構造を把握し、その設定の妥当性を問うために、混合寡占市場ではなく、市場に存在する企業全てが民間企業の場合も分析している。このベンチマークモデルは、全消費者に支持されているブランド品と、一部の消費者にのみ支持されているノンブランド品の競争と見立てることが可能であり、この様な形で論文をまとめた。この分析により、ノンブランド品の参入がブランド品を作る企業を助ける可能性を示した。この成果は、EARIEで発表するとともに、マーケティング分野で定評のある学術誌Marketing Scienceに掲載されることになった(注:異なる表題で発表しているが、同一の内容)。 昨年度から継続している混合寡占市場の研究として、外国資本が参入した場合の公企業の存在意義について、製品差別化の要素を取り込んで理論的に考察した研究がある。この研究についても、適宜改訂をしており、現在は学術誌に投稿中である。 これらとは別に、論文が英文査読誌に公刊されている。
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