研究課題
戦後、日本では高度経済成長期を通じて、東京、大阪、名古屋を中心とする三大都市圏で、大都市圏の空間的膨張、郊外の成長と一体化した大都市圏の発展が共通して見られた。しかし、1970年代以降には東京大都市圏のみにおいて、今日までほぼ一貫した他地域からの人口の純流入があり、一極集中の状況が続いている。本研究では、東京大都市圏内部の近年の空間構造変化について考察した。さらに、日本の第二規模の大阪大都市圏と比較を行い、東京圏の郊外化の特徴を考察した。今年度の研究から得られた知見は、以下の通りである。第一に、東京-極集中が加速化した1980年代初頭から20年間の東京大都市圏内部の空間構造の変化を、一辺が約1kmの矩形の基準地域メッシュ統計とGISを用いて考察した。その研究成果が、近畿都市学会学術誌『都市研究』に掲載された。東京圏の郊外では、人口、雇用の成長率ともに、都心部よりも高く、特に雇用の郊外化が急速に進んでいることが示された。そして、負の指数関数で表される都市密度モデルを、面積がほぼ同一の地域メッシュデータを用いて推計した結果を、2007年度日本人口学会大会で報告する。従来、主に行政区域の単位で分析されてきたモデルに、小地域統計とGISの距離測定機能を適用して考察を行う。第二に、大阪大都市圏内部の人口、雇用成長率変化との比較を行った。高度経済成長期以降、大阪圏の郊外では鉄道沿線周辺を中心とした住宅地開発によって、中心都市への通勤者とその家族を吸引して急速に郊外化が進んだ。本研究では、鉄道駅など施設の位置と関連付けて、小地域単位で郊外の人口変化を分析した。さらに、東京圏と同様に、大阪圏においても、1990年代以降、中心都市に比べて郊外の雇用成長が顕著で、雇用の郊外化が生じていることを、GISを用いて示した。両圏域の内部の変化にはある程度、共通の特徴が見られる。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
日本人口学会第59回大会報告要旨集
都市研究 第5号
ページ: 29-37
日交研シリーズ A-415
ページ: 39-50
Review of Urban and Regional Development Studies Vol.18,No.1
ページ: 41-59
人口学研究 第38号
ページ: 73-87