研究概要 |
1、知的財産権(特に著作権)の保護施策に関する先行研究の調査を行った。その上で、観察される権利侵害と対策の分類を行った。 2、著作権の技術的保護には、コピーコントロールのように違法コピー自体を難しくするものと単体識別信号の埋め込みのように違法コピーが行われて流通した際にオリジナルの特定を容易にする技術とがあること、そして前者は技術的保護のみで機能するのに対して後者は法的保護との連携が欠かせないことに着目して理論モデルの構築を開始した。 3、特許のライセンス契約と侵害訴訟について青木玲子氏(一橋大学経済研究所教授)と共同で行っている研究を進めた。その上で作成中の論文である"Inventing Around and Litigation under Asymmetric Information,"の改訂作業を行った。 4、政策研究大学院大学の大洞清香氏と共同で、リサーチツール特許に関する研究を開始した。民間企業による研究と公的資金による研究とで特許獲得競争がある場合に、それが経済厚生に与える影響に関して調査している。まず、リサーチツールに特許を与えるべきかどうか、また特許を与えたとしてその権利に制限を設けるべきかどうかを分析するための理論モデルを構築した。これはリサーチツール研究に対する公的資金投入が増加することで民間企業の研究開発投資が減少する効果(クラウディングアウト効果)について考察するためのものである。
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