本研究の目的は、国際的な環境保全の枠組みを構築するためには、どのように国際協調して各国で異なる国内の環境政策を調和させればよいかを提示することで、国際的な環境保全に取り組む際に留意すべき点を明らかにすることができる。 本年度(平成19年度)は、分析のための基礎的資料の収集・整理を継続するとともに、研究の基礎を確実に固めることに主眼を置いた。具体的には、以下のとおりである。 第一に、昨年度の調査で不足した部分について、各国の環境政策の実態を調査・分類して、その特徴を捉えるとともに問題点を洗い出す作業を行った。そのために、環境政策などに関連する基本図書を購入してその内容を精査した。各国の環境政策の動向や産業構造の特徴を調査するための政府資料も収集した。また、学会などに参加したりして、最新の環境政策と貿易に関する研究動向を調査した。これらの調査結果を今後の研究に活かすために、そして新しいOSに対応するためにコンピュータやパソコン周辺機器を購入し、それらを用いて分類や分析を試みた。 第二に、環境汚染の影響を一般均衡の理論モデルに導入する際に留意すべき点が、分析を行うことで明らかになった。国際貿易の一般均衡モデルを構築する上で大変、重要な点である。特に、環境汚染の生産性への影響か、効用への影響かで、汚染の影響を過小評価する可能性があることが示された。これを基礎にして、来年度、応用的な理論モデルを構築し、主だった結果を提示する予定である。 第三に、国際的な環境の枠組みの際に重要なツールとなる援助について論文を執筆した。最適な援助水準を利他的な行動がある下で分析した。この点は環境政策の調和の際に重要となるだろう。
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