研究概要 |
インドの州パネルデータと企業ミクロデータを用いて,労働需要に関する分析を行った。この論文は,2名の匿名レフリーの審査の後,多くの改訂を経て,Palgrave Macmillanから2008年4月以降に出版される英文叢書の第7章に"Labour Demand in the India's Textile and Garment Industries"として掲載されることが決定した。この論文は,解雇規制が(1)組織的部門における繊維産業の労働需要を減退させること,(2)組織的およびインフォーマル部門における労働需要の賃金弾力性を高めること,などを明らかにした。この論文の草稿を,神戸大学の兼松セミナー(2007年4月23日)と多国籍企業研究会(京都生協会館,2007年7月28日)で報告している。 インドの貧困の実態を解説した小論「インド経済入門」を公表した。この小論において,農業労働世帯がインドの絶対的貧困層の主体を形成していることを強調し,農業労働世帯に注目するという,インド労働市場をみる上での基本的な視角を明示した。 また,論文「インド経済の生産性分析」では,近年の製造業部門の生産性の傾向的な下落を製造業部門からサービス部門へのskilled workers(高等教育を受けた専門職・管理職)の労働移動に求めている。ここから,労働市場の硬直性を示唆した。この論文を,アジア政経学会西日本大会(福岡大学,2007年6月3日)で報告している。
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