研究概要 |
本研究の課題は, インドにおける労働市場構造やその変動が貧困削減や経済発展に果たす役割や, それらを効果的に実現するために必要とされる貧困削減政策や経済政策について理論的かつ実証的な研究を行うことであった. 第1に, 製造業部門労働需要関数の推定を通じてグローバル化や解雇規制緩和の雇用に対する影響を定量的に分析した。この結果、解雇規制緩和は必ずしも直接に雇用を創出するわけではなく、雇用の賃金弾力性を高め、雇用の生産弾力性を低めることがわかった。第2に, 労働供給の規定的要因として人口増加が考えられることから, 個票データを利用して出生率の決定要因を分析した。とりわけ、女性の教育水準の向上が出生率の低下に結びつくことがわかった。第3に, 本研究課題を遂行するうえで、労働者数や労働分配率などをはじめとする各種のマクロ経済統計も整理したが、そうした統計の整理を通じてインド労働市場がその下で機能しているインド・マクロ経済構造全体の分析も行うことができた。
|