・『配偶者特別控除の廃止は有配偶女性の労働供給を促進したか』(共著with Colin McKenzie、2006年、樋口美雄編『日本の家計行動のダイナミズム』慶應義塾大学出版会) 2006年日本経済学会秋季大会で報告 2003年3月に所得税法等の一部が改正され、2004年分の所得税から、配偶者特別控除の上乗せ部分(最高38万円)の廃止が決まった。本研究では配偶者特別控除の部分的廃止が有配偶女性の労働供給に与えた影響に関して実証分析を実施した。上乗せ部分の廃止は所得効果と考えられ、有配偶女性の労働供給を増加させると考えられる。 就業選択と労働時間の2つの視点に関して分析した。使用したデータは2004年度および2005年度「慶應義塾家計パネル調査(Keio Household Panel Survey)」の個票データである。様々なcontrol groupとtreatment groupの組み合わせで分析を実施したが、実証分析の結果、配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止は女性の就業選択には影響をあたえなかったが、労働時間には若干の影響を与えたことがわかった。 ●A Time Series Analysis of the Divorce Rate in Japan Using a Precedent-Based Index(with Colin McKenzie)2007年日本経済学会春季大会、MODSIMO7で報告予定予定 日本における長期的な離婚率の上昇は、どのような要因に起因しているのか、時系列分析によって検証した。離婚率と失業率、女性労働力率、出生率、男女間賃金格差、男女合計所得といった変数間には共和分関係がなく、長期的な関係は存在しない。これはアメリカで得られた結果と整合的ではない。日本の場合、経済変数よりも嗜好の変化が長期的な離婚率の上昇を説明するのかもしれない。
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