研究概要 |
今年度は,一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターより得た,全国消費実態調査の個票データの分析を一層深めることができた.具体的には,家計の個票データを用いて,子供を持つことが,各家庭にとってどの程度の金銭的負担になるのかを推計することができた. 韓国データの分析については,言語や習慣の違いもあるため,適切なデータを取り出すのが容易ではなく,実際の計算に着手するのが遅れている.特に,家屋や家賃データの扱いについては,日本の分析の場合とは異なる配慮が必要になってくる.こうした障害があるものの,少子化問題に直面する両国を比較する意義は大きいと考える.このため,できるだけ日本のデータと整合的な分析を行い,比較可能な形で結果を出す予定である. また今年度は,関連研究についても,分析を深めることができた.経済学における子供の扱いは様々である.金銭的な投資の対象と見なす場合もあれば,より社会的な存在と見なす場合もある.また,子供の数がどの程度家計に対して負担になるのかを分析するためには,家計の一人当たり所得を指標として用いるのは不十分である.なぜなら,一人当たり所得が同じでも家計の人数が多い方が少ない場合よりも豊かであると考えられるからである.こうした家計の人数の扱いについても関連研究の分析を進めることができた. 上記研究を踏まえて,今年度中に研究論文として完成させた上で,適切な学術雑誌に投稿する予定である。
|