研究概要 |
・連続時間契約モデルを用いた信用リスクにおける流動性プレミアムの分析に関して、当該研究期間の初年度である平成18年度は、主に理論モデルの構築・改善を行い、同時に実証データへの応用可能性を検討した。 ・具体的には、連続時間においてCostly State Verificationが存在するもとでの競争的な最適証券デザインモデルを構築し初稿を書き上げた。そこでは破産が貸し手・借り手にとって最適な解として内生的に生じるような信用リスクモデルを作った。結果のひとつとして、景気と反比例して内生的に変動する信用リスクプレミアムが観察されうることを理論的に示した。 ・この研究成果に関して、日本、米国での大学・研究機関でセミナー・コンファレンス発表を行った。具体的には、まず2006年5月に日本ファイナンス学会(東京大学)において当論文を発表した。次に、2006年6,月に米国出張し、ミネアポリスの北米夏季エコノメトリックソサイアティ会議において論文発表を行い、続いてシカゴ大学において研究ディスカッションを行った。2007年1月にはシカゴでのAEAミーティングに参加し、その後ワシントンDCのFederal Reserve Boardの研究課に一週間滞在し、当論文を発表し今後の実証分析への応用に関してディスカッションを行った。続いてペン州立大学(ペンシルバニア)、シカゴ大学(イリノイ州シカゴ)、ノースウェスタン大学(同)を研究訪問した。 ・現在、実証分析のためのモデルの改善と日欧米の企業データの収集と整備を行っている。まずは米国・欧州の先行実証分析で使用されたデータセットを参考にする。具体的には、過去にReduced-formモデルを用いた実証分析が多く存在するので、そこでの米欧州データを本研究の新モデルに応用することを検討中である。
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