自営業者の実質的な厚生水準を把握するための作業の一環として、自営業者の職業満足度を把握する研究を引き続き行った。この研究はミシガン州立大学に提出した博士論文に含められた一章をより精緻にし、新しいデータを加える形で改訂することによって行われた。結果として、自営業者は賃金労働者などに比べて高い職業満足度を得ていることが明らかになった。成果は現在、国際査読誌において査読されているところである。 また、関連する文献の精査をすすめ、カリフォルニア大学バークレー校のDavid Card氏をはじめとしてDavid Lee氏、Enrico Moretti氏らと研究計画について意見交換を行った。個人消費のデータを入手するために、一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターを通じてデータ利用申請を行い、その審査結果を待っているところである。また、米国・カナダについてのデータの所在に着いても確認を行い、順次データ分析を開始する予定である。 所得決定に関して関連する研究として職業訓練の賃金に与える効果、最低賃金が雇用に与える影響、男女間賃金格差、教育の賃金に与える影響、賃金下落が労働者の意欲に与える影響についての論文を国際査読誌にそれぞれ発表した。
|