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2008 年度 実績報告書

銀行間競争とリレーションシップ・バンキングに関する計量分析

研究課題

研究課題/領域番号 18730215
研究機関立命館大学

研究代表者

小倉 義明  立命館大学, 経営学部, 准教授 (70423043)

キーワード金融仲介 / 銀行間競争 / リレーションシップバンキング / 中小企業金融
研究概要

中小企業金融に関するアンケート調査(2001-2003, 中小企業庁)の個票データと、各都道府県の融資市場の競争度のデータを用いて統計分析を行ったところ、融資市場の集中度とリレーションシップバンキングの頻度、および新規参入企業の融資利用可能性に関して、以下のような実証結果を得た。
1 競合する金融機関数が多く、集中度が低い地域ほど、リレーションシップバンキング(継続的取引関係を通して個別顧客情報を蓄積・活用する銀行行動)が行われにくい傾向が明らかとなった。この結果は、金融機関の規模、公的信用保証による保証割合、企業の財務状態等を全てコントロールした上で得られたものである、なお、金融機関の規模が小さいほど、公的信用保証の保証割合が低いほど、また、中小企業の中でも比較的規模の大きい企業ほど、リレーションシップバンキングが提供される可能性が高いことが明らかとなった。
2 上記のようなリレーションシップバンキングが提供される可能性が高い融資市場で、創業まもない企業が融資を受けられる可能性が高いことが明らかとなった。これは、地域の経済成長率、経営者の創業時の資産保有状況、業界経験年数などをコントロールした上で得られた結果である。1と合わせて、総じて融資市場の競争度が低いほど、創業まもなくに融資を受けやすい傾向が明らかとなった。
3 金融機関が合併した場合、特に合併に伴う規模拡大の度合が大きいほど、金融機関の保有する個別企業情報が減少する傾向が、統計的に明らかとなった。
1、2の結果は、融資市場における競争の増加が必ずしも経済効率性に寄与しない可能性を示唆している。1の付随的結果と3の結果は金融機関の組織構造・規模が金融機関による情報生産・リレーションシップバンキングの提供に無視できない影響を与えていることを明らかにしており、いずれも効率的な融資市場構造を考察する上で有用な情報を与えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 金融機関の経営統合とソフトな情報の毀損2008

    • 著者名/発表者名
      小倉義明・内田浩史
    • 雑誌名

      経済研究(一橋大学経済研究所) 59

      ページ: 153-163

    • 査読あり
  • [学会発表] Lending Competition, Relationship Banking, and Credit Availability for Entrepreneurs2008

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Ogura
    • 学会等名
      Financial Intermediation Research Society, Biannual Conference on Financial Intermediation
    • 発表場所
      米国, アンカレッジ
    • 年月日
      2008-06-07

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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