2006年度の研究実績の概要としては、組織における認知ギャップを測定するための調査票の作成、質問票による調査の実施および結果分析を行った。 まず調査票の作成であるが、「職場」における組織成員間の認識ギャップを測定すべく、リーダーシップ、職場規範および職務満足度を測定するための調査票を作成した。第1のリーダーシップについては、職務重視型・人間関係重視型・職人型のリーダーシップ類型を仮定し、職場の管理者によるリーダーシップの自己評価と部下による上司評価との間のギャップを測定した。 第2の職場規範については、成文化されていない暗黙の職場規範について問う質問項目を作成し、組織成員間で職場規範に関する認識ギャップがどの程度存在するかを測定した。 第3の職務満足度については、賃金、人間関係、職場環境、仕事内容に対する組織成員の満足度を問うとともに、それらの項目をどの程度重視するか、その度合いを問う調査票を作成した。そして、組織成員間で職務満足度や職務重視度にいかなるギャップが存在するかを測定した。 さらに当初の調査票の質問項目に対し因子分析を行い、さら尺度の信頼性分析を行うことによって、質問項目数を絞った新たなバージョンの質問票を作成した。 2006年度は上記の調査票を用いて、フランチャイズ事業を展開する4社に対し、店舗従業員を対象とした質問票調査を合計7回実施した。企業別の内訳は、A社1回、B社2回、C社3回、D社1回である。調査頻度は1〜2ヶ月に1回の頻度であり、店舗従業員に対して繰り返し調査を実施した。 調査結果の分析内容としては、リーダーシップや職場規範に関する認識ギャップが店舗や事業部、企業ごとに異なるかたちで現れる結果となった。さらに上記の認識ギャップに関する時系列上の変化については、新たな経営戦略や組織構造、人事制度の導入の前後で、認識ギャップの現れ方に変化が見られるとの結果が出た。
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