2008年度の研究実績の概要としては、2007年度に引き続き、以下に示す分析視角に基づいて、組織における認知ギャップを測定するための調査実施および結果分析を行った。 第一に、業界別の職場規範の分析を行った。調査対象としては、従来の調査対象であった飲食業だけではなく、新たに衣類販売業など他のサービス業についても調査を行い、業界別に職場規範を測定・分析した。このような業界別分析を通じて、業界による職場規範の差異と共通点の分析を試みた。くわえて、職場規範に対する従業員の認識のバラツキ具合についても、業界別比較を通じて差異と共通点を明らかにした。 第二に、心理的契約に関する従業員間でのギャップ分析を行った。具体的には、個々の従業員の組織に対する「心理的契約」に関して、従業員間でどの程度のギャップが存在するのかについて分析した。すなわち、従業員の組織に対する心理的契約の因子を抽出し、各因子について下位尺度得点を算出したうえで、従業員間で下位尺度得点にどの程度ギャップがあるのかを因子別に分析した。 第三に、企業組織レベルの「認知ギャップ・モデル」の構築を試みた。ここでは調査対象を現業の店舗従業員だけでなく非現業部門の従業員にまで拡大し、非現業部門の成員間における認知ギャップの水準について経時的分析を行った。また、現業部門と非現業部門における調査結果を比較し、両部門の分析を統合することで、従来の職場レベルの分析から発展して、「企業組織レベルの認知ギャップ・モデル」の構築を試みた
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