本研究では地域独自の魅力を最大限に活かした持続可能なまちづくりの可能性を考察している。特にグローバル化時代の地域の概念およびその特性を、地域に固有の経営資源すなわち"地域資源"の視点から明らかにし、地域資源の活用による特色あるまちづくりの手法とそれを支える理論を提案することを目的としている。この目的達成のために、地域のおかれている現状分析とこれからの地域の未来像の検討を行い、先進地域の具体的なまちづくり手法を抽出しつつ、持続可能なまちづくりに貢献する地域資源の類型化や体系化が行われる。 これまでの合理性や効率性を評価基準とするまちづくりを、本研究では経済価値指向のまちづくりと位置づけている。従来型の経済性中心の企業原理をそのまま地域経営に援用するのでは、現在、地域が抱えている問題の本質をつかむことはできない。20世紀に確立した企業を中心とする拡大成長型の経済性の論理では、少なくとも地域における社会性や人間性の問題は範疇の外に置かれるからである。この整理を踏まえて本研究では経済価値から経営価値へのパラダイムシフトを提案している。 経営価値の提案によって明らかにされたのは、地域における評価基準としての持続可能性(サステナビリティ)である。まちづくりの概念を時間的、物理的に狭域にとどめることなく、仮想的な地域資源集積なども視野に入れ、地域の再定義への試みとして一つひとつの多様な地域資源連携による特色あるまちづくりの可能性に言及している。
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