本年度は本研究の最終年度としてこれまでの研究の総括を行った。さまざまな企業への訪問調査や、米国ミネソタ大学でのNorman Bowie教授との翻訳書出版のための討議などを通じて以下のような実績を上げることができた。 日本経営倫理学会誌に発表した論文「経営倫理学における倫理とは何か-倫理的に考えることの-考察」では経営倫理教育を行う上で不可欠な倫理とは何かということを哲学的に考察したものである。また、論文「企業内倫理研修におけるケース・メソッドの活用」では企業内で行われている企業倫理研修の実態を取り上げ、日本の教育全体に欠けている道徳教育を企業内でどのように受講者の満足度を上げ、効果的に行うかを論究した。 学会発表は3回行い、" The business ethics education at Japanese manufacturing gcolporation" では日本の製造業において行われている経営倫理教育について、「ビジネスの本質についての倫理学的考察」では利潤の追求というビジネスの本質とそこに存する倫理の意義について、「ビジネス倫理学の課題と展開」では今後の日本に必要な経営倫理教育の課題ついて、日本経営倫理学会などで研究報告をした。 著書『公益学を学ぶ人のために』では、米国の経営倫理教育でよく用いられる事例であるブレント・スパー事件について経営学的、倫理学的な考察を対比して描き、経営倫理教育における基本的な考え方について明らかにした。また、監訳書『利益につながるビジネス倫理一カントと経営学の架け橋 (Norman Bowie著) 』を出版し、カントの倫理学に基づいた規範に即した経営が利益につながることを様々な事例を通じて紹介し、経営倫理教育の一つの指針となる研究を行うことができた。
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