平成18年度より3年間にわたって進めてきた本プロジェクトは、従来の先進国主体の研究では発見できなかった新たな航空機産業のビジネスモデルの諸要因と、それらの因果関係を解明し後発国の企業研究の理論的・実証的領域を広げることを目的として行われた。 最終年度である本年度は、上記の目的を達成するため以下のことを行った。第1に、新興経済地域を本国とする多国籍企業の発展の経路を考察するため、文献研究を行い理論的な考察を進めた。第2にブラジルとその他の航空機メーカーを比較するため、カナダと中国の航空機関連企業や宇宙航空関連の政府系機関にインタビュー調査を行い、各企業の競争戦略や製品開発、また各政府の産業政策など整理した。その結果企業間でサプライ・チェーン、サプライヤー・システムの相違とともに、共通の動向も確認できた。第3に後発国企業の発展モデルの構築を試みた。 本研究は航空機産業を事例として扱った。当該産業にはわが国も含め多くの国々が参入を計画し、グローバル競争が激化していることから、ますます重要な研究対象となっている。今後も理論的枠組みをさらに発展させ、引き続きさらなる研究を続けていく予定である。
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