競争と協力のゲームとしてのビジネスゲームについて、特に協力を起こしやすくする仕組みとしてのシステムに注目した。韓国人留学生にビジネスゲームを指導する際に、moodleと翻訳ソフトを用い、小テスト問題、参考書や課題のファイルのハングルへの翻訳を行った。これにより、韓国人留学生は、日本語と韓国語の突き合わせをしながら、ビジネスゲームの内容を学ぶこともでき、最終発表会である模擬株主総会では、日本人学生も韓国人学生も、互いに質疑応答を行うことができた。 また、同じシステムを用いることで協力しやすくなると考え、新しいツールの導入としてSubversionの導入事例について検討した。そして、利用の半強制化とサポート体制の充実、ネットワーク外部性による利用者の増大、適切な時期での情報管理部署への管理の移管、事前のシステム要件の確認により、システムの導入が行いやすくなることを示した。 これらを踏まえ、生産、取引、販売フェーズのあるビジネスゲーム型CoCoゲームを開発した。限られた資金を、どのフェーズにどれだけ割り振るかということが戦略の焦点となる。生産フェーズでは、多く生産することによって、原価が下がっていく仕組みを導入し、取引フェーズでは、製品を原価より高く、しかし市場価格よりは安く、他社から買い取ることができることとした。販売フェーズでは、価格は同一として、その製品に投入した広告費によって、需要が変化することとした。このゲームは各フェーズを一度のみ行ったが、戦略には多様性があり、最初から生産を行わないという卸売業者を志向する意思決定も行われた。また自社製品をもつプレイヤーは、自社製品に広告費を多く投入して、自社製品の需要を伸ばそうとする傾向があった。しかし回数が少なく、協力することによって競争力をあげるという行動を確認できなかったため、今後内容とともに再検討していきたいと考えている。
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