本研究の一環である平成20年3月に執筆した著書『Life Cycle Management in Supply Chains』、に沿って、本年度は、VTR産業の事例にモデル分析を行い、ライフサイクルの推移とSCMの変容を追った。ライフサイクルとSCMを組み合わせ、それらの動きが特徴的に現れるVTR産業に絞って研究を進めたことによって、知見を得るあるいは既存理論を再検証することができた。その結果を平成21年1月には香港で行われた国際学会のSecond International Workshop on Successful Strategies in Supplv Chain Managementで、The product Evolution and Diffusion Life Cycle for Consumer Durablesというタイトルで発表を行った。ライフサイクルに関する研究の動向は、対象製品を絞る込む方向に進んでいたが、複数の製品世代を包括する製品群という概念を中心に、技術進歩、多様な消費者の購買形態、生産立地などを数十年単位で分析を進めている点に意義がある。この中では、価格性能比を軸に、各製品世代の性能と価格の合成指標で製品の販売動向を見ると同時に、消費者の多様な購買形態と生産立地の変化を分析している。
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