平成18年度の研究目的は、「内発的動機づけ」および「外発的動機づけ」の尺度に関する先行研究を概観し、これまでにいかなる尺度が開発されてきたのかを把握すること、そしてその成果を基盤として、尺度開発に着手することであった。 概観する研究範囲は、教育心理学や発達心理学など、これら2つの動機づけ概念の主要研究領域に限定した。「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の概念規定が多様であるように、それらを測定する尺度もまた多様であることは当然のことである。こうした中、本研究では、Hater(1980;1981)の尺度に着目した。この尺度は、挑戦、知的好奇心、達成、認知的評価能力に関連する判断およびその基準という5つの下位尺度によって構成されており、本研究における「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の概念規定にもっとも類似していたからである。Hater(1980;1981)の尺度は、櫻井(1990)によって日本語版が作成され、その信頼性も確認されている。それらを参照しながら、予備的な尺度が作成され、これを基礎として予備調査が実施された。しかしながら、質問項目のワーディングなど改変すべき点がいくつか認められた。 平成18年度における以上のような研究結果は、再度、予備調査を実施し、尺度開発を完結させなければならないという課題を残した。当初の予定では、平成19年度において、本研究で開発された尺度とその他の代替的な尺度との比較を行うことになっていたが、これに加えて尺度開発の完成が急がれる。
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