この研究において、ネットサービス市場を以下のように定義する。つまり、商品とサービスを伝統的な市場(小売市場、金融市場、映画館などのエンタテインメント市場等)とは異なったインターネットを利用した取引を行う場のことである。この市場の一ステークホルダーである消費者の行動に関する調査を行った上、消費者行動のデータベースを構築し、消費者行動のモデルを設計することは全体的な構想である。一経営学者の観点から分析すると中国インターネットサービス市場に関しては従来の伝統的な市場との異同は以下のようである。つまり、(1)ステークホルダーはまったく同じである(known)。(2)いわゆる伝統的な市場における消費者行動に関する理論研究と実証的な研究について、多くの学者の努力によって明らかにされつつある(known partly)。(3)しかし中国のインターネットサービス市場における、消費者をはじめとするこれらのステークホルダーの行動性向についての研究は一切行われていないため、まったくわからない(unknown)である。本研究はこの第(3)の部分を明らかにすることを目的としている。 20年度においては、現地企業そして中国に進出したネットサービス多国籍企業を対象に企業インタービューを実施し情報収集を行った。これまで収集したアンケート情報をもとに企業側の見解およびオンライン環境下で消費者行動についてその決定要因と変数の分析をどのように捉えているのを尋ねた。そして、消費者の行動について、その顕在な特徴を追いかけてどのようなサービスを企業が提供しているのか、またいかに消費者行動を誘導する施策を講じられているのかなどの問題について取材した。目下本研究の成果を整理し、発表論文に着手している。
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