研究概要 |
研究計画期間の初年度である平成18年度は,消費者の非計画購買行動を分析するために,従来研究の結果を踏まえたアンケートの作成と,その規定要因の解明を行うためのエージェントの行動ルールの設計を行った. 本研究において作成したアンケート調査は,心理プロセスに焦点を当てた研究と同様,幾つかの店舗属性が従属変数である非計画購買にどのような影響を与えているのかをコンジョイント分析を用いて検証するものである.さらに,自由記述による調査からテキストマイニングを用いることで,規定要因の絞込みを行うことができる.また,人間の購買行動を表現する方法としては,消費者が効用最大化に基づいて行動するロジットモデルを用いた.このモデルは,解析的表現が単純であることとパラメータ推定が頑健であることから,マーケティングだけでなく経済学や心理学でも応用されている.しかし,このモデルでは消費者の選好や反応などの消費者の異質性を表現することができない.この問題点を補うために,データから得られる分散を考慮したエージェントを設計した.また,消費者の効用を定量化する際に,プロスペクト理論を適用した.これにより,価格の変動と消費行動に関する人間の心理的な効用を定量化することが可能となった. 研究計画期間の最終年度に当たる平成19年度においては,作成したアンケートを元に調査を行い,仮想店舗を用いたシミュレーションを通して,より実用的なモデルの構築を実現すべく研究を推進してゆく予定である.
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