研究概要 |
本研究は、19世紀末から20世紀初頭におけるアメリカ連結会計に関して、その生成・確立過程を多面的に分析するものである。研究の特徴は、以下のとおりである。 (1)実際に公表された連結財務諸表を素材とした実証研究ということである。一時資料を利用することによって、抽象的レベルではなく具体的レベルでの研究が可能となる。 (2)財務会計・管理会計・監査という多面的な側面から分析することで、連結会計の発展を統一的に捉えることができる。 (3)連結会計が社会的認知を得て確立していく過程に関して、会計技術的な発展を解明するだけでなく経済状況や企業の組織形態の変化も併せて分析することで、社会経済における会計の位置づけ、および社会的機能を明確にする。 平成18年度は、20世紀初頭のアメリカ鉄鋼会社を中心に、連結会計の史的展開に関する研究を行った。当時のアメリカ経済の状況、法システム、企業の組織形態など、本研究の素地となる部分を分析したうえで、連結会計との関連を分析した。 具体的な成果としては,「Bethlehem Steel社における連結会計の展開」を紀要に発表した。本論文では、連結会計で重要となる資本連結や未実現利益の消去など、同社の連結財務諸表を中心に詳細な分析を行った。また、株式をまったく所有していないにもかかわらず、全資産をリースしているという理由で連結範囲に含めた会社があったことに関して,会計上の企業集団ではなく管理上の企業集団という観点から分析している。
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